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屋敷

「国登録有形文化財」の平田邸は、三階建ての主屋と平屋の新座敷からなる近代和風住宅です。平田家は代々大庄屋の家柄でしたが、明治10年、西郷隆盛の西南戦争に呼応した中津隊により家屋は全焼しました。主屋の1~2階はその後すぐ建てられた明治期のもので、主屋3階は大正13年に増築されました。奥座敷や唐破風の表玄関など高い格式を有します。各部屋ごとに意匠が凝らされ、欄間(らんま)や釘隠(くぎかくし)のデザインが異なるのも見所です。三方に大きく開かれた三階の座敷にはさえぎる壁もなく、名勝耶馬渓の四つの景「平田城跡の景」「立留りの景」「木ノ子岳の景」「山国川筋の景」が一望できます。

庭園

滝岩組に池を接続し、いくつもの山燈籠、水琴窟などを配した新座敷の庭園。 伏石や山燈籠など大振りな石が用いられているのは大正期の特徴でもあります。縁先におかれた大振りの伏石は、秀麗な耶馬の景観を遠望するための視点場でもあります。三階の広間は庭園の眺望台。随所に耶馬渓の風致景観を巧みに取り込む演出がなされています。地元産の戸原(とばる)石を多用しているのも特徴で、「国登録記念物」に登録されています。

一階の座敷では、襖を開くごとに廣瀬淡窓一門の書に囲まれます。流行に先駆けた南方材の床柱、細やかな細工の欄間、各所に掛けられた高僧の書。漢詩をたしなむ文化人であり、地域の名士でもあった代々当主たちの拘りの間は、訪れた人を歴史のひとこまに誘います。

煎茶

お茶、特に煎茶は大正時代の文化人の嗜みでした。此処、平田家でも先人達が上質な煎茶を嗜んでおり、平田邸の随所には煎茶道のように形にとらわれない自由な精神や風流を楽しむ工夫や遊びが散りばめられています。当時の貴重な茶器も大切に保管されています。